
しなやか広場
2014年2月
「がん哲」日記(その1)
菊井 正彦
1昨年11月にがんが見つかって、入院、検査、手術などとちょうど1年以上つきあって、現在に至っています。治療に応じて、すぐ近くのNI病院・隣市のTセンター・通院に、2時間近くかかる都内のA病院、そして地元のNC病院と4つの病院に関わることになりました。セカンドオピニオンを利用したのはいいのですが、基本的には紹介元の病院には戻れないということもわかりました。

この間、ストーマ(人工肛門)も永久処置が確定し、「身体障害者4級」の手帳をもらい、また、「要支援1」の介護認定も受けました。
ストーマの取り扱いは慣れたとはいえ、ふつうの健常者の場合より回数が多く、正直、面倒くさい“仕事”ですが、「身体障害者」になった利点(?)も予期以上にあります。
“畜便袋“などの購入費用の補助のほかに、東京都の交通機関が無料になり、民営バスも半額利用がOK。例えば、近くのバスに乗る時は、降りる番は気を使って最後にまわり、運転手に「身障者手帳」を見せ、「お願いたします・・・」と一声かけると、半額になるボタンを押してくれるというわけです。新宿まで出れば、都営メトロがあり、都立の美術館等も含めて無料で行けるところがいろいろあるのでありがたい。
直腸がんの手術を終えて、これで山は越したと思いきや、前立腺がんもできていたとか診断され、まだはっきりしないところがある状況です。どうも、私のがんはクセがあるらしい。性格がでているのかなあ?
74歳にもなりますと、手術・入院で一旦体力が落ちると、なかなか回復しません。また、放射線治療などの副作用らしいが、下肢などにむくみがでる症状の“リンパ浮腫”がいやらしい。要するに、いつも足腰が重くスタスタと歩けない。何かの拍子に人にぶつかってこられたら、間違いなく転倒する・・・という恐れがいつもある。とは言いながら、通院は当然として、どうしても会いたい人がいたら、バスと電車を乗り継いで新宿まで出かけ、ピーク時間をずらしてランチを楽しむこともやっています。
というわけで身体は不自由ですが、知的好奇心は旺盛なので、そのあたりは次回で・・・。
また「がん哲学外来」(http://www.gantetsugaku.org/)という活動を知りました。これは、患者とがんの発生と成長に哲学的な意味を見出そうとする人との対話の場、という趣旨ですが、単に、がんと闘うとか、いかに治療するかということではなく、がんとどうつきあって生きるか、と認識しました。全国的にネットワークがありますが、私の居住する多摩地区でも、月1回開催されているサロンに参加するのを楽しみにしています。
“私はがんで死ぬのではなく、寿命で死ぬ予定です”