しなやか広場

2015年7月

「がん哲」日記(その9)

ボランティアをされる

平成27年7月  菊井 正彦

私の趣味の一つに囲碁がある。

「日本福祉囲碁協会」というNPOがあり、施設や自宅にいて病気などの理由で碁が打ちたいけれど、ままならないという人がいる時、「わかりました!相手になります。場合により、お宅にうかがいます」という奇特な活動をしている。

私も、友人のTさんの勧めやそのボランティア精神にひかれ、入会し、ボランティア棋士となったのが4年前。しかし、ガンになり自由な活動ができないので、2年前に協会を退会し、地元の多摩市社会福祉協会が開催する囲碁会に1メンバーとして参加したりはしていた。いわば、ボランティア棋士ではなく、ボランティアをされる立場になってしまった。

年明けから病状が進み欠席していたが、この囲碁会に過日、半年ぶりに参加した。初めて会ったというYさんに、挨拶をかねて“手段”(対局)してもらった。話しをしてみると、最近、協会多摩地区の理事になったというYさん、なんと、永らく私と同じ聖ケ丘に居住していることがわかった。Yさんの協会入会と私の退会とがほぼ同じ時期のため、情報を共有できるチャンスがなかったためと思われる。

Yさんとの出会いが嬉しく、改めて自宅への訪問対局をお願いし、先日早速に1回目の対局が実現したというわけだ。

写真:ボランティア棋士との対局 左が菊井さん
ボランティア棋士との対局 
左が菊井さん
定年後、電話相談やシニアライフアドバイザー協会の活動など、いわばずっと「ボランティア活動」をする方であったが、ガンが立場を変えてしまうことになった。

ボランティアをするのが、できなくなるのは少しさびしい気持ちもする。が、「ボランティアをされる」側に身を置くことで、新しい人との出逢いがあり、新しい違った発見ができたようだ。


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