
しなやか広場
2016年10月
私のエッセイ雑記帳(その65)
仏の道をゆく孫たち
〜美しいかたちが見える〜
ライフワーク研究家 中村 義(なかむら ただし)
今年、2016年(平成28年)の夏、我が家にとって、まことに嬉しく、また記念すべき、大切なひと時を味わうことができた。
というのは、私たちの息子が住職を務める寺で、特別の儀式が静粛に執り行われたからである。彼の息子たち、すなわち私たちの孫たち(中学1年生と小学4年生)が「仏様を信じ、師匠や先輩方を信じて仏の道を歩く」という誓いを立てる式、いわゆる得度式だ。大勢の檀家さんや知り合いの人々に披露する機会に、親族として立ち会うことができたのである。
一般の人々には、こうした儀式には参列する機会もなかなかなく、その意味も理解されることは少ない。お盆を迎えるこの時期に披露することができたことは、ことのほか意義深いことであると思う。
この式典のおおまかな流れはこうだ。ご本尊様に三拝、三度の礼拝をし、家族へのお礼の礼拝後、衣とお経を授かり、僧名をと絡子(らくす:小型のお袈裟)を授かる。さらに、仏様に対し、今までにした間違いや正しくない行いを懺悔し、仏弟子となる用意をする。
そして、仏と仏の教えと仏を信じる仲間をよりどころとし、大切にしていくこと、生き方の指標や暮らし方の決まりを守ると誓う。
これらのことについて、姿かたちだけではなく、心も仏弟子になるという誓いの言葉「よくたもつ」で答える。
こうして一連の儀式を終えた13歳と10歳の男子が仏様の弟子となるのだ。
大勢の参列者が見守る中、彼らは緊張しながらも、無事に全ての儀式を終え、うっすらと笑みを浮かべていたのが、とても印象的であった。
この得度式は、職業としてのお坊さんになるための儀式ではなく、さまざまな物事を仏様の目で見る、生き方の指標、暮らし方の決まりを守るという約束を皆様の前でしっかりと誓うことでもあるのだ。
この曹洞宗長久山宝泉寺は、今年開山429年を迎え、現住職は二十五世である。これから500年、600年、さらに1000年と続く寺は、地域に深く根差した「誰もが気楽にお参りでき、また時代に即した新しいかたちの寺」として目指して欲しい。この日に立ち会うことができたことは、まことに感慨深いものがあり、彼らの新しい人生の門出を祝福しながら、素晴らしい大人に成長してくれることを期待している。
(余談)自分の節目の年(歳)を大切に!
私は今年の秋には、74歳を迎える。現在私たちの孫たちは、13歳、10歳、3歳である。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの時には、77歳喜寿を迎え、閉会時には78歳で、2022年には、目出度く傘寿(80歳)となり、この時一番上の孫は20歳となる。そして、目出度く彼と乾杯ができる。楽しみである。
さらに、前年2021年には、金婚式が待っている。
こんな風に自分の節目の年を整理してみることで、いろいろな準備というか、それまでにやりたいことや、しなければならないことなど新しい目標も見えてくる。それはまことに嬉しいものだ。
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