
しなやか広場
2017年2月
私のエッセイ雑記帳(その69)
こうして自分のテーマを見つける
ライフワーク研究家 中村 義(なかむら ただし)
リタイア後の長い人生をより楽しく、有意義に過ごすためには、まず健康管理が一番である。このことは以前、アクティブシニアの共通項でも述べたことであるが、先ずもって、毎日の規則正しい生活のリズムを保つことが大切である。
退職後、多くの人は年賀状などで「これから何をするか考える」、「暫くのんびりしたい」、「ゴルフ三昧にどっぷり浸かる」、「海外旅行をする」などと知らせてくれる。でも私の周りの人たちや会社時代の同僚、上司、部下など含めて、その後の様子では、思ったほど満足した生活ができていないようである。
と言うのは、退職後、セカンドライフをいつから始めるか、その準備をいつからしたか、そのテーマは自分で決めたものか、などと分析してみると、どうやら問題の中身が見えてくることに気づいた。
退職前に既に自分のテーマをしっかりと決め、すぐに実行に移し、たまのゴルフはいいが、お金のかかる趣味などは、一般に余り長続きしない、といったことである。
それではどうするか。
これまでの人生を振り返ることから始めてみてはどうだろうか。自分の記憶を遡るのである。2、3歳の頃から小学校、中学校、高校、大学、就職、結婚、などという節目で思い出してみる。その時々、好きだったこと、途中で止めていたこと、気になっていること、やりたかったこと、などなど。
これらのことを書き出してみる。おもいつくまま、どんどんランダムに。できれば欲張って200や300くらいの単語やキーワードを拾い出す。それらを眺めながら、グループ分けをする。その分類は、自分の都合で決めてよい。
たとえば、スポーツ、趣味、調査・研究、夢、など何でも。その中で趣味と知的好奇心についてのテーマをそれぞれ、2つずつピックアップする。それこそ、間違いなくあなた自身が見つけた好きで楽しいテーマである。
人に誘われたものでなく、人から言われたものでもない、まさしく自分で見つけたテーマ、それが大切なことである。自然と長続きするテーマそのものを選んだことでもある。そう、しがらみのない、おつき合いでもない、楽しいテーマの発見である。
ワークシートを含む、このテーマ探しの詳しい事例については、拙書「輝いて、シニアライフ」(文芸社刊)にも紹介しているので、興味のある方はご覧になってください。
要するに、記憶を遡って、本当に好きなことを見つけ、磨きをかけ、まとめ、人に伝えるといったプロセスを実行していくことは、楽しいのである。さらに、テーマに関する最新情報を追加しながら、もっと質の高いものに仕上げていく。
ひとつのテーマが完結して、まとまったところで何らかの形で人に伝える。たとえば、ブログやホームページで紹介する。パソコンで冊子を作ることもいい。もっと発展させて、出版というかたちで挑戦してみる。さらに欲張って市民講師などを目指して、そのテキストとして活用することもできる。
こうしてみると、時間を有効に使え、さらに健康寿命も延び、何といっても楽しく人生を送れるのが心地よい。私自身、これからは小さい頃から好きであった絵画の世界に挑戦することが次のテーマであり、75歳の後期高齢者、いや「光輝高齢者」を迎える今年の秋から独学で勉強を始めることを考えて、今年の年賀状で公表してしまった。
だから、どうしても実行しなければならないのである。
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