
しなやか広場
2017年4月
私のエッセイ雑記帳(その71)
日本中に「福寿」を広めたい
ライフワーク研究家 中村 義(なかむら ただし)
シニアからの人生の節目の呼び方、いろいろ。ご存知のように、60歳還暦、70歳古希、という長寿のお祝いの年について、気がついたこと。
私の好きな「寿」のつく人生の節目は、77歳の喜寿から始まる。
80歳:傘寿
88歳:米寿
90歳:卒寿
99歳:白寿
108歳:茶寿
111歳:皇寿
ここまでは、皆さんよくご存知。ちなみに、112歳は珍寿(112歳以上は珍しいため、毎年お祝いします)。
こうして見ると、60歳から70歳までの間には祝い事の年が無いのである。そこで、私は新しい長寿の祝いとして66歳、「福寿」を提案したい。その根拠は、色々ある。
まず、福の神といわれる皆さまは、ふっくらした耳をお持ちです。その耳のかたちが数字の「6」で、ふたつ合わせて「66」である。
次に、大抵の会社や組織では、退職年齢が60歳から65歳へ移行中であり、厚生年金などの公的年金も、既に65歳から支給されるようになっている。そこでお勤めご苦労さま、これからセカンドライフを楽しんでください、という人生の再スタートの年が66歳からになる。
さらに、福寿66歳が誕生すると、66、77、88、99という具合に綺麗な長寿祝いの「ゾロ目のラインアップ」も出来る。70、80、90と合わせて、とても嬉しいことである。
こんなことを考えていたら、知人が「日本百貨店協会が66歳を緑寿と名付けてPRしているよ」と教えてくれた。早速、私のこの提案をその協会に文書で伝えておいた。
昨年以来、「福寿」との不思議な出合いが続いている。
横須賀で見かけた蕎麦屋「福寿」では、美味しい手打ちそばをいただいたし、何とマンションの名前もあった。神田では、「福寿そば」を見つけ、偶然に酒屋で見つけた日本酒「福寿」も旨い。
久しぶりにお参りに行った浅草では、「福寿の舞」という儀式があることを知った。これは節分の日、豆まきの後に、七福神が勢ぞろいし、舞台で恵比寿さまと大黒さまが踊るというもの。昭和39年の宝蔵門落慶の際に始まったもので、観音さまの福徳を讃え、七福神の故事から由来しているらしい。金龍の舞、白鷺の舞とともに浅草寺三大奉納舞のひとつだ。
ご存知七福神の耳は毘沙門天さまの耳の形を知る像はお見受けしていないが、その他の6人の神様の耳はすべて福耳をお持ちである。
こうしてみると、やはり私の提唱する66歳の長寿祝い、「福寿」にも益々うれしい裏打ちが出来てきたようだ。
ちょっと余談だが、81歳を盤寿という話を知り合いが教えてくれた。将棋を楽しむ人たちは、よく知っていることで、将棋盤が9×9のマス目で、81からという楽しい由来である。
おまけの話
私の父は、65歳で亡くなったが、書道家でもあり、その号は「寿石」。こういうお祝い事は還暦以外は、通常、数え年だから、まさに「福寿」の年であった。
もうひとつのおまけ話。
私は、毎年、年賀状に「寿」の異体字を5つずつ紹介している。国内で見つけた「百寿」の文字を書き続けている。全部紹介するのに、20年もかかる。
ところが、もっと凄いことに出合ったのである。会社勤めの頃、私が百寿ファンであることを知っていた友人が中国へ出かけた時に、北京の大きな書店で目についた書物「万寿字譜」という本を、私のためにお土産として買ってきてくれた。もう飛び上がりそうな嬉しさは、いまでも忘れない。
編者の姫目耕先生は、70歳を越えてから中国の古文に数の最も多い異字体の「寿」字の研究を始め、ライフワークとして完成させた驚異の集大成である。集めた「壽」の異体字の総数は、驚きの1792字だ。もちろん、この書物は私の大切な宝物のひとつである。
こうして、今年は「福寿」や「壽・寿」との不思議な出合いが続いている。どうでしょうか。全国のみなさん、日本のあちこちで一緒に「福寿」を広めてみませんか。
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